札幌に移住して26年目。本年54歳。

 

いまや札幌はわが人生でもっとも長く住んでいる街となった。このあと残された時間を考えると、もう別の街にこれ以上長くとどまることはないだろう、たぶん。

 

札幌への移住を夢見ている人は多いはずだ。自分もそのひとりだった。もっとも、自分の場合は「夢見る」ではなくて「企てる」であって、会社員時代になかば強引に転勤願いを受理してもらって、そのまま居着いた確信犯である。

 

以来、この街を愛してやまない。
札幌への移住を「夢見ている」アナタ。夢見るだけではことは進まないです。とっとと計画を実行しましょう。

 

だがしかし。
旅行ならともかく、移住となると不安も多い。この際、先輩移住民のアドバイスは重要だ。
とはいえ、札幌の「いいところ」はメディアとかなんかでさんざん紹介され尽くしているから、この場ではあえて意地悪く「札幌の残念なところ」を紹介してみよう。あくまでも個人的な視点で。

 


電気代が高い
自宅を新電力に切り替える際に調べて初めて知ったのだが、北海道は電力10社の中でもっとも電気代が高い。したがって札幌は日本一電気代が高い政令指定都市である。

 

<クルマの運転が荒くてヘタ>
札幌は渋滞がほとんどなくて道幅も広く、街区が整理されいていて走りやすいからか、総じて運転が荒くて、しかもヘタだ(東京都心に比べて)。また、譲り合いの精神に乏しく、交通規制などの合流時にいやな思いをすることしばしばである。休日の運転はとくに注意が必要だ。

 

地下鉄が混み合う
設計時にここまで人口が増えると予測できなかったのだろうか。地下鉄駅の改札への動線が少なくて狭いため、通勤時間帯はかなり混み合う。特にもっとも敷設年次が旧い『南北線』は危険だ。また、誰もが車両の出入り口近くに立ちたがってしかも譲らないため、出入り口周囲は東京の通勤電車並みに混雑する。

 

自転車の暴走が多い
居住区と中心部が近接していることもあり、街中を走る自転車が多い。老若男女問わず繁華街の歩道でもおかまいなしに暴走して、非常にアブナイ。また、市内に多い一方通行の車道を平気で逆走する命知らずも珍しくなく、常に緊張を強いられる。

 

街頭の音声CMがうるさい
いまどき街の中心部で音声CMが放送されている。スピーカーは街区のあちこちに設置されていて、朝の8時半から「ステーキハンバーグ朝5時まで営業!」「高収入なら○○!」などとがなり立てる。これだけで街の品位が著しく低下していることに、行政は早く気づいてほしい。

 

パチンコ店が多い
「街の顔」であるJR札幌駅の目の前にいきなりパチンコ店がある。街を横断するアーケード街『狸小路』にもパチンコ店が複数。中心部のショッピングテナントが撤退すると、パチンコ店が入居する。パチンコに罪はないけれど、一等地にありすぎ。

 

景観規制がゆるい
「ゆるい」というか、「ない」に等しい。せっかく先人たちにより街区が美しく計画されて植樹も多いのに、建物の美観に制約がないから、電飾やら看板やらのぼりやら、とにかくやり放題で台無しだ。市民の憩いの場である大通公園沿いに唐突にタワーマンションが建って、度肝を抜かれたりもする。

 

季節の変わり目のファッションにはらはらする
「おしゃれはガマン」なのは百も承知だが、季節の変わり目、特に春先の若い女子のファッションには、はらはらさせられる。ヘタをすれば0度近くまで気温が下がるというのに、薄手のスプリングコートで震えているのを目にすると、こっちまで悪寒が走るようだ。余計なお世話なのだが…。

 

ジンギスカンに煙る花見
北海道神宮で有名な円山公園では、花見の季節のみ煮炊きが解禁される。公園内はジンギスカンを焼く煙で霞がかかったようになり匂いもきつい。正直、「花見」という風情からは程遠い。とはいえ、「イベントにジンギスカン」は北海道民の文化だから、これこそ風情というものかもしれない。

 


…と、まだまだ残念な材料はいくらでも出てくる札幌ではあるが、すでにお分かりのように、どれもこれも、まあかわいいものである。
こういうちょっとダサいところがあるほうが、人も街も見ていて安心するというか、なんかほっとするというか。

 

やっぱり空気はきれいだし、水はおいしいし、地震が比較的少ないし、ゴキブリは越冬できないし、温泉も海も山も職場も近いし、人々はのんびりしているし。

 


札幌に移住して26年目。本年54歳。

 

この先、さらに北海道の田舎に引きこもろうという計画はあるけれど、まずはいまのところ日本一、いや世界一大好きな街ということで、この札幌を誇りを持ってアナタにご紹介したいわけなのである。

 

 

 

 

( 絵 / Midori Kambara )

 

 

 

 

 

藤田達也(ふじた たつや)

 

EZOBITO編集長 ワインバー Au Grenier オーナー・ソムリエ

 

1964年生、東京都出身、札幌市在住。
父の仕事の都合により少年期をヨーロッパで過ごす。帰国後非行に走り転落人生を歩むが20歳でデザインの道を志し更生。零細デザイン会社勤務を経て、同社倒産を機に株式会社リクルートに転職。28歳で札幌転勤に成功、そのまま土着する。

40歳で独立、制作会社 t-desk.inc を設立。
2011年5月、紹介制のワインバー Au Grenier(オ・グルニエ) をすすきの近くに開業。
昼夜兼業で、カラダに鞭打ちながら札幌の生活を満喫する日々。

 

http://t-desk.net/grenier/

 

 

 

 

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