札幌には、クラシック音楽が似合う風景がたくさんある。

 

春、ベートーヴェンやブラームスの心地よい音色を聴きながら公園を歩いていると、まるでそこはヨーロッパ。そよぐ風や季節ごとの花々、手漕ぎボートのゆったりした動き、お散歩中の犬たち、ランナーの軽快な走りさえも音楽に合っている。
紅葉が美しい季節には、切ないピアノ曲なんかで物思いにふけるのも悪くない。
しんしんと降り積もる雪の景色は、シベリウス(北欧の作曲家)の音楽がぴったりくる。

 

そんな札幌が、「PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)」の舞台に選ばれたのは29年前。
「ウエストサイド・ストーリー」の作曲家としてよく知られる故レナード・バーンスタインが、最晩年に平和な未来を願って創設した国際教育音楽祭だ。
アジアで開催場所を探していたところ、湿気の少ない、梅雨のない(最近は怪しいけれど)、自然に恵まれたこの札幌がイメージにはまった。

 

PMFでは、プロを目指す優秀な若手音楽家をオーディションで選抜。国際色豊かなひと夏限りのオーケストラのメンバー約100人が青春ど真ん中、7月の1ヶ月間、熱く音楽に集中する。

 

普段着はまだまだ子供っぽいメンバーだが、本番では正装をし、真剣に音楽と向き合う姿に感動し、ゾクッとする。
そして、彼らにとって札幌は、音楽の経験とともに、特別な記憶となって、「また帰ってきたい場所」になるのだ。

 

若手音楽家を指導するために、世界から著名な指揮者や音楽家も札幌に集まる。
彼らの楽しみは爽やかな気候や自然、そして札幌や北海道のおいしい食だ。

 

それゆえ、スタッフに無理難題をぶつけてくることも多い。
たとえば、演奏会後の遅い時間でもOKな高級すぎないおいしいお寿司屋さん。おいしい料理と趣味のいい個室。今夜(!)ヴァイオリンセクションのみんな(30人!?)が入れる安くて美味しいお店、などなど。

 

すべての要望をクリアできているかはわからないが、感想を聞くと評判は上々。常連の音楽家たちは、その中からすでに行きつけにしているお店があるご様子。札幌の街をそれぞれに楽しんでいることが、嬉しい。

 

クラシックはちょっと苦手という方も、まずは札幌の爽やかな夏の風景と一緒に、才能豊かな若き音楽家の音色を楽しんでほしい。

 

PMFの名物ともいえる「ピクニックコンサート」は、その名のとおりピクニック感覚で楽しめる野外コンサート。
芝生の上に敷物やテントを広げて寝っころがると、ステージからは極上の音楽が聴こえてくる。いい気持ちで夢の中へ・・・。鳥の声や風の音もちっとも邪魔にならない。
クラシックのコンサートでは珍しい年齢制限なし、飲食自由のリラックスできる空間。クラシック音楽と自然の相乗効果を体験できるのは、札幌の夏ならではだ。

 

PMFは来年で30回目を迎える。音楽の似合う札幌だからこそ、続いてきたのかもしれない。
間もなく29回目のPMFが始まろうとしている。

 

 

 

 

( 絵 / Midori Kambara )

 

 

 

 

渡辺史子(わたなべ ふみこ)

 

公益財団法人パシフィック・ミュージック・フェスティバル組織委員会
事業マネージャー/広報担当 

 

札幌市出身。オホーツク地方出身の両親の影響大。札幌西高卒業後、カナダのKelowna市に3年半ほど滞在し、英語と観光学、冬はスキー三昧。札幌に戻り、札幌国際プラザを経て、1994年からPMF組織委員会で裏方としての仕事に就き、ちょっとやっていたヴァイオリンと英語を仕事で生かせているつもりだったけれど、今は不明。
Web「PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)」https://www.pmf.or.jp/

 

 


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