江丹別(えたんべつ)でチーズを作って8年目になる。全国的に見ても、ブルーチーズ1種類でやっているチーズ工房はうちが唯一だろう。

 

江丹別を発信したい、自分の生まれ故郷に誇りを持ちたいという思いからつけた「江丹別の青いチーズ」は、あっという間にたくさんの人に江丹別の魅力を広めてくれた。今では飛行機のファーストクラスに乗って、文字通り世界を飛び回っている(あくまでチーズが、だが)。

 

本州からわざわざ見学に来てくれたり、移住してレストランを経営したいという人が現れたり。自然と人が集まってくる。その人たちは、僕が語る江丹別の未来に頷いて応援してくれる。

 

かつては「こんなところには夢も希望もない」と思っていた。一刻も早く江丹別から出て行こうとしていた。とにかく世界に出て、何か大きなことを成し遂げることが人生の勝ち組だと信じていた。

 

しかし気づいてしまった。夢も希望もなかったのは江丹別という土地ではなく、その時の自分自身だったということに。「勝ち組」などという安っぽい言葉で、自分の人生の出来不出来を周りの環境のせいにして逃げていただけだった。この土地でチーズを作り、人に食べてもらうことでそれに気づかされた。

 

夢や希望はいつだって人の心に宿る。そして、それが宿った人の周りに人は集まってくる。

 

北海道は広大な大地だ。名前のついたその土地1つ1つに住む人間がいる。それぞれが抱く夢や希望は1つ1つ、いつか形になってその土地の魅力になっていくだろう。それが地域を作っていく。

 

 

僕は今、世界一のチーズを作り、江丹別を世界一の村にするという夢を持っている。誰に頼まれたわけでもない、自分自身が最高にかっこいいと信じて叶えようとしている大きな夢だ。でも本気でできると信じている。そんなことばかり周りに言っているので、最近はブルーチーズドリーマーという肩書きで仕事をするようになった。

 

田舎に住みながら、退屈だなあ、つまらないなあ、なんてこぼす人は多い。もしかしたら、本当につまらないのは自分の住む街や環境ではなくて、他ならぬ自分自身なのかもしれない。

 

北海道は札幌以外どんどん人が減っていて、未来は暗いように言われることがあるが、そんなことはないと思う。平均年齢が60歳を余裕で超えている江丹別に住む僕がそう思うのだから大丈夫だ。僕は北海道で暮らす、夢や希望に満ち溢れた人をたくさん知っている。

 

北海道の未来は僕たちそのものだ。みんなそれぞれが明るく輝いている限り、北海道の灯が消えることはない。

 

 


( 絵 / Midori Kambara)

 

 

 

 

 

伊勢昇平(いせ しょうへい)

 

ブルーチーズドリーマー

 

1986年3月28日生まれ
江丹別生まれ江丹別育ち。2008年帯広畜産大学卒業。24歳から両親が経営する牧場、伊勢ファームで江丹別の青いチーズの製造販売を開始する。憧れの人(と悪魔)はhideとデーモン閣下。一児の父。

 


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