札幌にいたからできたコト

 

本に音楽、グッズ━━誰もが知る詩人、谷川俊太郎さんのものばかりを集めたカフェを、今年5月にオープンしました。名付けて「俊カフェ」。俊太郎さん公認ということで、たくさんの取材を受けました。フリーライターでもある私がどうして今、カフェの店主を名乗っているのか。自分でも不思議です。ただ、フリーライターとして取材をしながらいつも感じるのは、どんな方にも大きな分岐点があったということ。では私の分岐点はどこだったのか。そう考えた時、必ず「札幌にいたから実現できた」という思いが溢れてくるのでした。

 

私の出身高校は札幌開成高校。校歌を俊太郎さんに作詞していただいたのが自慢です。これが最初の俊太郎さん作品との出合いです。そして大学を卒業した22歳の頃に見たテレビCM。古い日本家屋の台所で醤油を持った女性の横に「夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった」というコピー。なんて趣のある世界観なんだろう…と見惚れました。同じ頃、本屋で同じタイトルの詩集を発見。しかも著者は俊太郎さん。「え?詩集のタイトルだったの?あ、校歌の人!」。ということですぐにその本を購入し、俊太郎さんの紡ぎ出す言葉に強く惹かれるようになりました。これが、私にとって本格的な俊太郎さんの詩との出合いになります。

 

その後私は、雑誌の仕事で現代詩を歌うグループ「DiVa」の存在を知ります。バンマスは谷川賢作さん。素晴らしい音楽家で、俊太郎さんの息子さんでもあります。俊太郎さんの詩に賢作さんが曲をつけた楽曲はどれも魅力的。ボーカルの高瀬麻里子さん(通称まこりん)とは取材で知り合い、今では親友に。そのことを差し引いても、私はDiVaの音楽に魅了されていきました。またまこりんとの会話の中に登場する俊太郎さんは(失礼ながら)とても愛らしく、そのお人柄にもますます惹かれていったのでした。

2012年、私は札幌開成高校の50周年記念式典で初めて俊太郎さんとお話する機会を得ることができました。後日、俊太郎さんから届いた封筒の中に入っていたのは、発売になったばかりの『すき好きノート』と、oblaatというブランドの鉛筆「一行一ダース」。1本1本に、鉛筆の気持ちが書かれていました。ますます俊太郎さんの言葉に惹かれた私はグッズを買い集めるようになり、いつかこれらを集めた店を開きたい…そう本気で考えるようになりました。

 

 そんな私の話をずっと聞いていた尊敬すべき友人の提案で、彼女のギャラリーSYMBIOSIS(南2西4)において2015年7月、「とても個人的な谷川俊太郎展」を開催。俊太郎さんにも全面的なご協力をいただき、17日間で1,000名以上の方がご来場くださいました。私の「常設店をやりたい」という思いは、ますます強くなったのでした。

その後の経緯を書くと文章量が5倍くらいになるので省略しますが、札幌で出会った方々の協力なくして、私は俊カフェをオープンすることはできませんでした。またこの北の地が育んでくれた、私の「強く願えば叶う」という直球型思考回路や、動き出したら止まらない勢いのようなものも、夢を叶える原動力になったと思います。そして今は、この地で長く俊カフェを続けることが、一番の夢になったのでした。

 

 

( 絵 / Midori Kambara )

 

 

 

 

古川奈央(ふるかわなお)

 

俊カフェ店主、フリーライター&エディター

 

札幌生まれ、札幌開成高校出身。雑誌編集、ブライダル施設企画等を経て2007年よりフリーライター&エディターとして活動。2017年5月には、詩人・谷川俊太郎氏の本をじっくり読んだり、音楽に聴き入ったり、グッズを手に取ったりと、五感で詩の世界に浸ることのできる「俊カフェ」をオープン(南3西7 KAKU IMAGINATION 2F)。今はお客様と俊太郎さんの話をし、お飲物を入れる日々。

https://www.facebook.com/shun.T.cafe/

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