札幌生まれ、札幌育ちの私が40を過ぎ移住したのが道東、釧路市の隣町の白糠(しらぬか)町。

同じ道内に移り住むことを「移住」というのが正しいのかどうかわからないけれど、縁もゆかりもない土地に私は移り住んだ。

 

釧路管内で初めての「地域おこし協力隊」として白糠町で採用された。正直、それまでは「道東」は遠い場所としか思っていなかった。「釧路と根室はほぼロシアでしょ」と冗談で言っていたくらい、未知の世界だった。

 

それから6年半、今やすっかり道東にハマっている。

 

地域おこし協力隊として町の情報発信を任されたこともあり、とにかく町と地域を知ることが急務だった。最初の1年は休日もほぼ休まずに釧路と根室管内を走り回った。着任から半年後に地元の地方紙でコラムを書くことになり、それも後押しとなった。たくさんの人と出会い、話し、地域を知る。タンチョウがはばたく豊かな自然と、そこに暮らすやさしい人々。

 

そんな中、私が何よりも魅了されたのは「食」だ。

 

海、山、川。

豊かであり、時には厳しい自然と向き合って暮らす生産者を知れば知るほど、尊敬と感謝の思いが深くなる。そして、そこで育まれる食材の豊富さには圧倒される。

 

肉、魚、野菜、チーズ。

それぞれの生産者の顔が見える食材が当たり前にそばにあることに胸が高鳴るのだ。

 

そして、地元の食材と向き合う料理人。

和食、中華、フレンチ、イタリアン、どのジャンルでも地元の食材を楽しめるという贅沢。

 

例えば、市場の魚屋で「今日はこれがおすすめですよ」と聞く。その日、外食に出かけると、その「おすすめ」が美味しく料理されて出てくる。そういうことが何度かあり、これが『偶然』ではなく、地元ならではの『必然』だということに気付く。

 

春はニシンとトキシラズ、夏はイワシにサンマ、秋は毛がに、冬はししゃもにヤナギダコ・・・。旬を旬としていただける。これがどんなに幸せで素晴らしいことか。

さらに、そこに美味しいお酒があれば「もう他には何もいらない」とさえ、思う。

 

こんな楽しみが1年中続くのだ。まさに至福である。

 

もしも、私がもっと若かったら、本当に美味しいものの意味もわからず、こういうことに感謝できなかったのかもしれない、と思う。人生はタイミング。

 

そもそも、私が道東に住んだのも「たまたま」なのである。
偶然を好む私に神様が与えてくれた「たまたま」の人生。おかげで札幌に戻りたいと思ったことはただの一度もない。

これから先もずっと暮らしたいと思える土地に出会えたことに感謝して、今日も旬の肴とお酒をいただくことにする。

 

 

( 絵 / Midori Kambara )

 

 

 

 

根津 真枝(ねづ まき)

 

白糠町地域活性化支援員

 

札幌生まれ。テレビ局勤務やアパレル販売、専門学校の講師などを経て、2011年より地域おこし協力隊として白糠町に移住。現在は地域活性化支援員として町の広報活動に携っている。移住初日からスタートした白糠町での生活を紹介するブログ「白糠って知らぬかった!」や白糠町のFacebookページで日々、情報発信をしている。

http://gabinshiranuka.blog.fc2.com/

 

 

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