2017年5月15日、三笠の自家畑に、りんごの木を植えた。

 

私は農業者であるが、玉葱や米、南瓜の栽培が本業である。りんごは初めての栽培となるため、りんご農家や試験場の方の話を聞き、また書物などを読みながらの植付けとなった。

 

26年前何を思ったか、産直の八百屋を岩見沢市ではじめた。実家が農家だということと、前職が農業関係の仕事だった事もあって、その時一番やれそうな事業が八百屋であったような気がする。農家の長男だから農業を継ぐのが自然の流れであったが、20代の若者としては、都会に憧れ農村には魅力を感じなかった。

 

自分で八百屋をはじめて一年後、ある人と出会い、札幌に商売の拠点を移すことになった。その後、多くの生産者と知り合い、沢山の消費者と生産者をつなぐイベント行い、あっという間に20数年が過ぎた。その間、流通の仕事のために、自宅のある農村から札幌の都会へ通う毎日を通して、若い時にはなかった「農村もいいじゃない」「田舎も楽しいじゃん」という思いが自然と湧いてきた。

 

そして、生産者から消費者へ正直に食を届けることは勿論、もっと農村や田舎を身近に感じてもらえる事ができないだろうかと思うようになっていた。

 

米をつくっているので、田植えや雑草とり、稲刈りをみんなでやろう、おいしいご飯を食べようと『田んぼプロジェクト』を企画したり、大豆を植え、出来上がった大豆で味噌づくりをしたり、そばをまき、手打ちそばをやったりと、農業と食の関係を楽しく感じてもらえる事をやってきた。

 

50歳になる今年、節目としてりんごの木を植え、新たなことやってみようと思った。

 

私が住む三笠地域は田んぼや小麦、大豆の畑ばかりである。メロンやキュウリなどの果菜類も特産であるが、りんご農家は一軒だけと、りんごとは無縁の地域である。しかし、近年はワイナリーも多くでき、ぶどうの栽培が盛んにはなってきている。100本近いりんごの木を植え、これを花火として、この農村・地域に人が来てくれればいいなと思った。

 

食を生産する農村としてだけでは無く、ひとの憩い、拠り処的な農村も良いのでは。

 

数年後、上手に育てば、真っ赤なりんごが実る予定。木の成長を見たり、手入れをしたり、春にはりんごの花を見たりと、時間はかかるが楽しみも多い。いつか、りんごの木の前にレストランや宿泊ができるような場をつくれると楽しいだろうなと、想いを膨らましている。

 

そうそう。りんごはお酒(シードル)にしようと、これまた想いを膨らましているのである。

 

 

(イラスト / Midori Kambara )

 

 

 

 

鈴木秀利(すずき ひでとし)

 

農家、有限会社オフィスアン代表取締役社長

1967年生まれ。三笠市在住。

高校卒業後一般企業に就職するものの、24歳で脱サラし、岩見沢市で地場の野菜を直接販売する八百屋をはじめる。その後、札幌に拠点を移し『有機やさいアンの店』を開業。平成16年から、朝は畑仕事、午後から札幌で八百屋と、農業と八百屋の兼業となり、消費者参加型農業を実践している。http://annemise.com/

 

 

 

 

 

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