スポーツ取材をしているぼくがいうのもどうかと思うが

 

ぼくは自他共に認める運動音痴だ。

 

「スポーツ取材をしている人間が言うことか」と取材先からお叱りを受けそうだが、事実なんだから仕方がない。雪国で生まれ育った人間なので、スキーだけは一応「できる!」と胸張って言えるのだが、そのほかは…。子供のころ取り組んだバスケットボールは、レギュラーになれずじまい。ゴルフも、ラウンドする度にたくさんのボールをコースに「寄付」している。でも、スポーツは下手なりに楽しい。見るのも楽しい。北海道は、その環境にとっても恵まれている。

 

プロ野球、Jリーグ、Bリーグという全国規模のプロスポーツチームがすべてそろっているのは、首都圏以北では宮城と北海道だけだ。バドミントンの競技登録者は、東京に次ぐ全国2位。今春、女子の硬式野球部が札幌の高校に誕生した。冬場は、仕事終わりにナイターに行けるスキー場が複数ある。スピードスケートもアイスホッケーもカーリングも楽しめる。シーズンを問わず、さまざまなスポーツに触れる機会のある北海道は、立派なスポーツ王国だ。

 

そんな土地に暮らしているゆえに、子供の体力調査が全国平均を下回っていることには驚く。スポーツ庁が毎年行う全国体力テストで、北海道は男女ともに都道府県別で40位台だ。別にスポーツに長けていなくても、体力でずば抜けていなくてもいいんだけれど、基礎的な運動能力の低下は衝撃を受ける。今の小学生の中にはスキップはおろか、ドッジボールも投げられない子が珍しくない。あるスポーツクラブの指導者に聞いた話だと、投げ方や体の動かし方を一から習わないと思うように動けないというのだ。原因はひとつではない。外にでるよりゲームを選んだ、お稽古事に忙殺される、そもそも外で遊べる場が少なくなった。社会の変化は十分理解するが、ちょっと淋しい。

 

ファイターズは、なぜ東京から北海道への移転を決めたのか。もちろん、さまざまな計算があってのことだけれど、数字にとらわれない側面もあった。移転が決まったころ、親会社日本ハムの大社啓二社長に食事の席で言われたことをよく覚えている。「北海道にはスポーツに必要な広大な土地がある。しかも体への負担が少なく、首都圏には少なくなった土のグラウンドがあるからね」。

 

道外の人には北海道の持つポテンシャルが見えていた。

 

北海道に生きるぼくたちは、スポーツという恵まれた「財産」を活用しきれていない。活用できていれば、体力問題なんて起こるはずがない気がする。自転車のタイヤにたとえるとスポーツはハブで、そこから食と健康やライフスタイル、観光などなど数多くのスポークを伸ばせる。プロスポーツ選手やアマチュアスポーツの指導者をはじめ、国際的に有名なスノーリゾートになったニセコ、上質な天然芝が国内外から高い評価を受けている網走のラグビー場から、スポーツが好きという人たちまで、スポーツに関わる人、モノ、コトが一つになったらどんなことができるだろうか。北海道が盛り上がって交流人口が増えれば、職も生まれる。この大地は、スポーツを核として豊かな暮らしが実践できる適地ではないかと思う。

 

取材でも取材以外でも、最近そんなことをよく考える。運動音痴にもできることがあるんじゃないかって。

 

 

( イラスト/ Midori Kambara )

 

 

 

 

 

 

大崎哲也(おおさきてつや)

北海道新聞社運動部編集委員

早稲田大学スポーツビジネス研究所招聘研究員

ライター

 

札幌市出身。札幌の高校、京都の大学を経て北海道新聞社入社。四半世紀に及ぶ社歴の半分以上は札幌と東京でスポーツ取材に従事。趣味は旅(なんとか20カ国はクリア)と文化系(落語、歌舞伎、演劇)。華の独身。

 

 

 

 

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