

天野洋海(あまの ひろみ)
お料理あま屋店主・料理人
1974年静内町(現・新ひだか町)生まれ。 地元を離れ札幌で修業、帰郷後2003年に「お料理あま屋」を開店。 家族経営で創業した有限会社マルテンストアー代表取締役として、スーパー経営やオンラインショップ運営なども行っている。 また、2011年からご当地グルメの推進を目的に、町内飲食店9店舗で設立された協議会の活動の幅を広げる為「新ひだかFOOD倶楽部」と改称し、町ぐるみで食による地域活性化を実践している。 2014年から日高管内7町活性化を目的とする広域民間団体《HIDAKAおもてなし部会》を発足し、共同代表としてイベント開催や観光情報誌などを作成。昨年度は北海道新聞地域元気大賞を受賞。 ・資格等 調理師・フードコーディネーター・焼酎アドバイザー・AAOエゾシカマイスター チーズコムラート・地域が元気になる食づくり職人
ホームページ http://shizunai-amaya.com/information/ Facebook https://ja-jp.facebook.com/amano.hiromi
日高に帰って15年が過ぎました。 札幌から戻った当初は毎日同じことの繰り返しで、刺激のない田舎暮らしにつまらなさを感じていました。与えられる楽しさしか知らない可愛そうな俺だったんです。
実家は当時で創業35年目の、鮮魚を中心にした小さな食品スーパーでした。お陰様で子供の頃から鮮度の良い魚、野菜、山菜、自家製の干物、地域限定食材ではあるものの飛び切り美味いものを食べてました。いまだに親父の作る山漬けの鮭とイクラ、茹で蛸が世界一美味いものだと思ってます。
残念ながら、天野家には自分のお店で売っているモノ以外は買ってはいけないというルールがありました。もちろん買ってはいけないルールですから食べられないって事ですよね。だから、美味しい肉は食べたことがなくて、冷凍の肉ばっかりでした。大人になって美味しい牛肉を食べた時は、ビックリしすぎて声も出ませんでした。本マグロに出合った時も、一瞬で恋に落ちました。ヒトメボレってやつです。今では笑ってしまいますが、本当に毎日食べる事しか考えていませんでしたね。今でもそう変わりはないんですが。。。
俺の職業は、会社経営者であり料理人であり食で地域を楽しくする職人です。

15年前、『お料理あま屋』を開店しました。今思えば、何も分からず(?)分かった振りで色々な方に迷惑を掛けていたんだろうと恥ずかしくなりますが、お客様を楽しませようという気持ちだけで今までやってきたような気がします。開店当初は、地元のお客様に全国の旬のものを食べてもらおうと、都会の繁盛店の真似をしていましたが、何のためにココで料理屋をやっているのかいつも違和感を持っていました。開店して3年後のある日、敬愛するある先輩が発した「ひろちゃん、全部日高っていいんでない?」のひとことですべての違和感がすっと消え、日高料理を目指す事にしたわけです。 『あま屋』の料理は美味しいだけじゃない、農家さんや猟師さん、漁師さんと料理人の思いが詰まって、楽しくて、面白くて、驚きがあるコトも一緒に食べて欲しいと思っています。
自分たちで楽しさを創り出していく楽しさ。
俺たちは日高をもっと楽しく魅力的にしたい、自分たちから楽しさを発信したい、そんな気持ちで『HIDAKAおもてなし部会』と言う日高地域7町を跨ぐ民間の広域連携組織を立ち上げ、俺も共同代表として日高を楽しむ活動しています。 会を立ち上げて4年目になりますが、現在20の個人団体が参加しています。昔、日高は観光なんてないべ、特別うまいもんもないべ、人なんか来るわけないべと言われていました(住んでる自分たちもそう思ってた(笑))。 今は全く違う感覚です。春うにや夏ししゃも、神経締めブリなど季節ごとの食のキラーコンテンツを創り出し、ココにしかない夕陽や星空の景観を掘り出し、ココにしかない経験を見つけました。 自分たちがこの日高がもっと好きになり、楽しんで、益々日高に世界中から人が訪れてくれるようになるだろうと信じています。
自分たちが思いっきり楽しんでると、それって伝わるんですね。ヒダカワクワク伝染病。
一緒に楽しい事したい人、この指とーまれ。
( 絵 / Midori Kambara )