

山本 亜紀子(やまもと あきこ)
女性顧客視点のマーケティングを支援する会社、株式会社エルアイズ代表取締役
モニターサイト『主婦ラボ』代表
札幌市在住。
1968年東京生まれの札幌育ち。
1991年横浜国立大学教育学部心理学科卒、株式会社リクルートに入社、東京で6年半勤務後、出産を機に退社し約8年間専業主婦。2005年に札幌に戻り、主婦視点アドバイザー業を始め、2007年9月に法人化。同時にモニターサイト「主婦ラボ」をスタート、現在の会員数は2,600名。覆面調査やグループインタビュー、商品モニターなどのリサーチとコンサルティングが主な事業となっている。
好きなことは買い物、おいしい食事とワイン、テニス、商業施設&スーパーめぐりなど。ほめる達人検定3級取得。
株式会社エルアイズ コーポレートサイト http://www.l-eyes.com/
主婦ラボサイト http://syuhu-labo.net/
北海道の夏は、青い空に緑がくっきりと映え、空気は暖まり切らずにすがすがしく、本当に気持ちの良いすばらしい気候だ。しかしその時は短く、道民はこの短い夏を思いっ切り楽しむ。
ファッションやアウトドア、楽しめることはたくさんあるが、特に多くの北海道民が大好きなのがBBQ(バーべキュー)だ。札幌の郊外の住宅地や地方都市では、土日は昼から、平日でも夕方になれば、あちこちから煙が上がって香ばしい匂いが漂ってくる。自宅の庭や玄関先で気軽に日常的にBBQをして、家族での夕飯にしたり、友人や家族と昼から飲んだりするのだ。
わたしが20年間関東で暮らしていた時は、夏は気温が高すぎて外で過ごすこと自体無理だったり、隣の家との距離が近くて煙や臭いが迷惑で、なかなかBBQをすることができなかったが、北海道ではこの点はあまり問題ではない。加えてジンギスカン文化があり、昔から七輪などで屋外で楽しむ風習も根付いていたことや、BBQ用品の発達や低価格化もあいまって、多くの人に楽しまれるようになったのだろう。
なんと、ゴールデンウィーク時期に行われるお花見も、桜なんかちっとも見ないで、桜の木の下でのジンギスカンやBBQをするのがお決まりなのだ。最近では、手ぶらで行ってもOKな、炭やBBQ器具、お肉や野菜までを配達してくれるサービスも大人気だ。
10年前のことになるが、わたしは札幌で主婦視点のアドバイザーとして起業し、食品スーパーのコンサルからスタートした。いろいろな売り場の商品や売り方について改良点を提案していくのだが、ある時、バイヤーから「今どきの家庭ではBBQする時にどんなもの焼いているの?うちの売り場の提案で足りないものをピックアップしてほしい」という依頼をされた。その時わたしは前述のとおり、20年間の関東暮らしから札幌に戻ったばかりでBBQの経験がなく、まるでわからなくて実はとても困った。そこで次男が通う幼稚園のママ友2人にヒアリングしたのだが、これがとてもおもしろかった。
「灯台ツブはおいしいけど網の上で焼くとはねて危ないから磯ツブがいいんだけど、〇〇スーパーじゃないと売ってないんだよね~」
「ホッキは身の中のそうじをしないといけないから、貝から外して身だけ焼く」
「エリンギはまるごとアルミホイルで焼いてから裂いて食べるとおいしい」
「おもちとか食パンも炭で焼くとおいしい~」
「かまぼこもおいしいよ」
「とうきびは皮ごと焼いて蒸しとうもろこしにする」
「最後に炭火の中にさつまいもをアルミホイルにくるんで入れて、デザートとして食べる」
たまたま料理好きで食いしん坊のママたちだったこともあり、出てくる出てくる、BBQのおすすめ食材や調理方法…。BBQをとても楽しんでいることがよくわかり、その時は驚いたものだ。ちなみにこの二人は今でも当社の重要な戦力社員となっている。
その後もいろいろな人とBBQをご一緒しているが、各家庭で定番のメニューや自慢の一品が必ずあり、教えてもらったり持ち寄ったりするのが、これまたとても楽しい。最近ではダッチオーブンはもちろん、アヒージョを作ったり、ピザ窯を庭に作っていろんなピザを焼いたり、ビールはサーバーをレンタルして生ビールで楽しんだりと、どんどん楽しさが広がっている。
家族や友人、ご近所や子供のつながりなどいろいろな人との楽しいひととき・思い出になるBBQは手軽ながら、とても大切な食のシーンのひとつとなっている。そして、大抵どこのパパも張り切ってやってくれるのが、BBQの一番の良さかもしれない。実は主婦にとっては「切るだけ」で済む気楽なメニューであり、準備や焼き係、後片付けなどなど、パパをその気にさせるのが裏の腕のみせどころなのだ。
北海道の女性はとにかくアルコールに強いし、飲む回数も多いが、自宅BBQだと気兼ねなく飲める!のもポイントだろう。そういうことで、今週はジンギスカン、来週は焼肉と交互に行くか!となるのだ。
北海道スタイルの自宅の庭や玄関先でのBBQ、今年は何回できるかな?
(イラスト/ Midori Kambara )