私は心の底から北海道を、そしてニセコを愛しています




前川孝也(まえかわ たかや)


株式会社ニセコニアン 代表取締役


1981年、北海道寿都町生まれ。1999年、北海道札幌手稲高等学校卒業。2004年、北星学園大学社会福祉学部卒業。2012年、小樽商科大学大学院商学研究科アントレプレナーシップ専攻修了(MBA/経営管理修士)。現在は株式会社ニセコニアンの代表取締役。

現在は妻、二人の子供とともにニセコ町に暮らす。


株式会社ニセコニアンは、ニセコ発のライフスタイルブランドになることを目指しています。当社のミッションは、「スポーツ」「自然」「旅行」の分野でイノベーションを起こし、これらの領域に存在する問題やストレスを取り除くことです。また「One Percent of Sales Supports Niseko Community Projects(売上の1%をニセコ地域に還元するプログラム)」を推進しており、売上の1%相当を地域発展のために活用しています。

現在は、若手アーティストと組んでミネラルウォーターやTシャツの販売をしていますが、今後はスポーツジムの設立や、地域の子供たちへの音楽教育と音楽イベントの立ち上げ、スポーツチームの運営、スポーツウェアやウォーターボトルなどの企画・販売などの「悪だくみ」をしています。夢多き会社であり、その夢は尽きそうもありません。


著書:『人嫌いの起業家、ニセコで会社をつくる―ニセコを愛する男が、ひょんなきっかけでビジネスを始めた物語―』(アマゾンキンドル版)

株式会社ニセコニアンの公式サイト:http://nisekonian.com/

Eメールアドレス:info@nisekonian.com






「愛する」という言葉は、日本では普段気軽に使えるものではないし、英語の「Love」と違って、日本語にすると少々気恥ずかしい気もします。

しかし、それでも私は堂々と、そしてもう一度言います。「私は心の底から北海道を、そしてニセコを愛しています」と。


私は北海道の寿都町という小さな漁師町に生まれ、そこで中学校を卒業するまで過ごしました。高校・大学時代は札幌市で過ごし、そして2007年よりニセコに移り住んで現在に至ります。自分は人生の大半を北海道で過ごしていることになります。

ニセコでの生活は早いもので13年目に入りましたが、恐らく今後もこの地で生活をしていくことになると思っています。


「北海道、そしてニセコのどこが好きなの?」と自分に問うてみても、なかなか一言で答えるのは難しい。自然も好きだし、田舎も好きだ。温泉も最高だ。食材もそれ自体が新鮮で美味しいので、少し手を加えただけで素晴らしい料理になる。冬にはパウダースノーを楽しむことが出来る。その全てが答えのようであり、答えではないような気もします。


その中で私が辿り着いた答えは、「ライフスタイル」というものです。

これが自分にとって、一番しっくりとくる答えでした。自分は北海道、特にニセコでのライフスタイルに価値を見出しているからこそ、ここでの暮らしに満足をしながら日々生活をしているのです。


もちろん、生活をする上で不便だと感じることは沢山あります。

例えば、大きな書店に行きたい時は、車で1時間半かけて小樽にまで行かなければならないし、子供を歯医者に連れて行きたければ2時間かけて札幌まで車を走らせる。

またニセコには、映画館やショッピングセンターなどもありません。都会の生活と比べると、ニセコでの生活は足りないものだらけです。都会のように、ものに囲まれた生活が出来る訳でもないし、自然環境も非常に厳しいのが現実です。特に豪雪地帯であるニセコに住む人々は、冬を乗り越えるのにみんな必死になっています。


しかしその反面、良い所も沢山あります。

山が近くにあり、少しドライブをすれば海がある。夏にはアスパラやズッキーニ、サクランボなどの旬の食材を楽しみ、広々とした近所の公園で子供たちと遊び、たまには家の庭で友達を呼んでバーベキューをする。

子供たちをフルーツ狩り連れて行けば、友達と一緒になって大はしゃぎをして走り回る。また自分はジョギングが好きなので、早朝の澄んだ空気を吸いながら、一人静かに走るのは格別だし、走ったその日は一日がハッピーな気分でいられる。


秋は秋でカボチャやジャガイモを楽しみ、冬になると子供たちと雪かきやそりすべりをして遊ぶ。スキーの後の温泉に入ると、冷え切っている体が芯まで温まって最高だ。

このように、自由と不自由を天秤にかけてみても、やはり自分の中ではニセコでの「ライフスタイル」が勝るのである。

全体的にゆったりとしていて、心穏やかでいられる生活環境の方が、不自由さや不便さを上回ってしまう。人間関係もぎすぎすしていない。そして大自然に囲まれた環境の中で、家族と仲良く力を合わせて暮らす。

そういうライフスタイルが、自分にとっては代え難い価値であり、北海道、そしてニセコに生きる意味なのだと思います。




次は、観光客の皆様に北海道のどんなところを楽しんでもらいたいかについて考えてみます。

もちろん北海道に来たからには、ラーメンやソフトクリームなどの美味しい食べ物を満喫し、観光スポットに行って記念撮影をし、そして夜は温泉や宿泊自体を楽しむ。それはそれで結構です。

しかし、ニセコなどのような辺鄙な場所には「不自由さの先にある豊かな暮らし」があり、その豊かさに触れて欲しい。地域住民と接することで、それぞれのライフスタイルを感じてもらいたい。

都会から来た人は、北海道やニセコでの旅行で不便さを感じることがあるかもしれませんが、その不便さも含めて体験をして帰って欲しい。北海道での「シンプルで素朴なひととき」とでも表現できるような、豊かな時の流れを味わって欲しい。それが私の思いです。


また最近の旅行客を見ていて、私が感じていることがあります。

それは、誰もが「失敗しない旅行」を追い求めるあまり、旅行本来の楽しさを自ら放棄しているのではないかということです。


旅行を計画している人は、旅行が始まる前に旅行雑誌を購入し、事前に下調べやウェブサイトでの情報収集をする。口コミを参考にレストランやホテルを選び、そして事前予約をする。いざ北海道に来たら、レンタカーを借りてGPSを頼りに目的地まで向かう。道に迷ったら、車を路肩に停めてカーナビを確認したり、実際に地図を広げて目的地までの道順を確認したりする。

北海道外から来る旅行客は、北海道での滞在期間も短いので、短期間に出来るだけ多くのことを詰め込みたいというのは良く分かります。自分も旅行をする時には、もちろん同じように考えます。

しかし、そのような「失敗しない旅行」ばかりに気を取られ過ぎると、旅のもう一つの醍醐味である「アドベンチャー(冒険)」を体験する機会を失ってしまうような気がしてならないのです。それはあまりにも勿体ない。


それよりも、例えば道に迷って車を路肩に停めたのであれば、近くで草むしりをしている地元の人間をとっ捕まえて、道を尋ねてみる。地元の人が普段通う食道やレストランを紹介してもらう。たまには事前にレストランを予約せずに、ふらふらと街を歩いて食事をする場所を決めてみる。たまには失敗するかもしれませんが、失敗したって良いのです。そこまで含めて「旅」「旅行」なのです。

「旅の恥は掻き捨て」なのですから、一回くらい失敗したって、何も心配することはありません。またいつか時間が出来たら北海道に来れば良いのです。


最後になりますが、観光客の皆様には北海道を「味わう」ことも忘れないで欲しいと思います。

目の前に広がる素晴らしい景色を写真に残し、各地を急いで周る旅行も良いが、その瞬間に目の前にあるものを、自分の目で見て心に焼き付けて下さい。

商品やサービスにしてもそうです。

北海道民で提供されているものをつぶさに観察し、それを「誰が」「何故」「どのような思い」で作ったのかに思いを馳せて欲しい。


このような工夫をすることで、北海道旅行の楽しさは格段に増えるのではないでしょうか。ものの表面だけを見るのではなく、その中に詰まったストーリーを紐解いてみる。それが私の考える北海道の楽しみ方だと思います。


私は2017年3月に、株式会社ニセコニアンという小さな会社を設立し、現在はミネラルウォーターやTシャツの販売をしています。

読者の皆様とは直接お会いすることは出来ないかもしれませんが、当社の商品を通して旅行客の皆様と触れ合えることを楽しみにしています。

もしニセコに来ることがあれば、お気軽に遊びに来て下さい。



( 絵 / Midori Kambara )




EZOBITOトップに戻る


EZOBITO TM 2017 All Rights Reserved. 

This website is supported by HOKKAIDO-OMIYAGE-TANKENTAI

http://www.rakuten.co.jp/hokkaido-omiyage/

​サイト内のすべてのイラストおよび文章の無断転用を禁止ず