私と珈琲を北国で





岩井貴幸(いわい たかゆき)


いわい珈琲 オーナー


1973年札幌市生まれ。

98年、豆の焙煎・販売を行う「いわい珈琲」を開店。

SCAAコンファレンス、COE審査会等に参加(07年から国際審査員)。

同業の仲間とともに独自の仕入れルート開発にも携わる。

04年「カフェヒュッテ」オープン。






「岩井さん、コラム書いてください、北海道に来たくなりそうなヤツ」


まぁ、さらっと無茶言いますよね(笑)


こちとら生まれた時から北海道にいるから

来たくなったコトなんか無いのである(苦笑)


さて困った。


とは言え、代々家訓で仕事は断れないし、断らない主義。


で、最初に思ったのが「コラムってなんだっけ?」です。

考えてもわからないし調べた時点で自分の言葉ではないので

普段の自分らしく、ナイル川の様に蛇行するおしゃべりにお付き合いを願う感じで

「私と珈琲を北国で」

 をテーマにお伝えします。


さてワタクシ1973年に札幌に生まれまして、

なんやかんや25歳で珈琲豆屋を開店いたしました。


今年48歳なので多分23年目。

冬は雪と、夏は風と、日々の暮らしを紡いでいます。


実は最初、喫茶店をやろうと思ったんです。

でもお金がなくて(笑)


経験なし、コネなし、販路なし、当時の私に銀行さんは1円も貸してくれませんでした。


お金がないので珈琲屋の必須アイテム「焙煎機」が買えず。

困った私は珈琲屋の先輩である札幌市発寒(はっさむ)の横井珈琲さんにお願いしまして

発寒で焙煎させてもらい、月寒に珈琲豆を持って帰って販売する日々を始めます。

後に清田の早川珈琲さんで2キロの焙煎機を貸して頂いたりしつつ、その後も借り物生活は続く…

Borrowing life never ends.


後に排煙問題で現在のあいの里へ移転しますが、

自分の焙煎機を買ったのは月寒店時代、開業2年目の秋頃です。

しっかり準備して開業している方から見ると驚愕の事実オンパレードですが、

意外と続いて23年目。

やめないように頑張って、低空飛行のエキスパートとなりました!(笑)


そんな私が作るコーヒーはというと

北海道らしい深煎り真っ黒の珈琲ではなく…

日常の中に佇む、透明感があって豆の特徴がキャッチしやすいクリーンな珈琲です。

口が曲がるくらい酸っぱいとか、とにかく苦いだけの珈琲は単純に液体として心地よくないですよね。

コーヒー飲んだ後にお水欲しくなるのって嫌なんです。


私の「珈琲」は「美味しい液体」であって「珈琲らしさ」は無くてもいいかなと。


ほんのり甘くフルーティーだったり、香ばしくて余韻が心地よかったり。

私は

私のコーヒーが好きだと言ってくれる人のために仕事がしたい。

そして私の珈琲のライバルは「お茶と水」です。






そろそろ、

私と珈琲を北国で



唐突ですが北海道といえば美味しいミルクです。

どこの何がオススメとか書けませんが濃厚な牛乳で作るラテとか

ソフトクリーム、ジェラートとエスプレッソでアフォガートはステキです。

あと美味しいチーズを使ったピザとコーヒーのペアリングもオススメ。

チーズとコーヒーって合うんですよ。


個人的なオススメは春秋の少し肌寒い時期にキャンプで飲む珈琲と地元の牛乳。

夜、焚き火の前で飲む濃いめのカフェオレ、朝食のトーストと一緒にもいいですね。


寒い日のコーヒーには思い入れがあります。

小学校1年生から中学校3年の夏まで、母の手伝いで朝の新聞配達をしていました。

冬の朝、配達の後に悴んだ指を温めてくれたのは牛乳入りのインスタントコーヒー。

今も思い出すのはあの珈琲の暖かさ。


今年、呆れるほど降った雪はもう溶けてしまったけれど

悴んだ指を溶き解すのは、今日も熱い珈琲。

あの熱で指先は痺れたまま。

そして未だ冷めない情熱で

私は今日も、焙煎をしている。


僕と珈琲を北国で




( 絵 / Midori Kambara )



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