北海道と付き合ったら、静岡県が見えて来た。



佐藤雄一(さとう ゆういち)


コンセプト株式会社 代表取締役

合同会社 互産互生機構 代表社員

静岡県サイクルツーリズム協議会 事務局長

商品・商環境・デザイン・建築・地域・観光のプロデューサー


2006年に北海道開発局より、ツール・ド・北海道 国際大会等のあり方検討委員の委嘱を受けたことをきっかけに、北海道と静岡との地域間交流に乗り出す。

2016年に札幌事務所を開設。北海道と静岡県との「互産互消」を推進しようと、合同会社互産互生機構を北海道4名と静岡県8名のメンバーで設立し、代表社員に。

北海道⇔静岡県でサイクリストによるガイドツアーの商品化、静岡⇔十勝で住民による二拠点居住の実証実験、北海道⇔静岡県で小売店による食材の相互販売などに取り組んでいる。



静岡県に空港が開港して11年。

北海道の新千歳空港と沖縄県の那覇空港を、ANAが富士山静岡空港を経由して結んでいる。

静岡は北緯34°で札幌は43°と緯度差はなんと9°もあり、那覇は26°で8°もの差がある。緯度1°の距離は111kmだから北に1,000km、南に900kmを超えて、それぞれ一日一便が飛んでいる(2020年5月はコロナ禍で全便運休だったけれど…)。


案外みんな気に留めていないが、47都道府県のうち、静岡県を含めた34の都府県が北緯33°~36°の緯度間に位置している。日本の約70%は、その3°内に収まってしまっているともいえる。

その帯状エリアを東西に移動するのでなく、北に9°の緯度を超えてみると、気候や風土、地勢や植生に極めて違いがあることを意識するようになった。


行き来してみると、北海道は11月から4月まで半年近くも生活が雪とともにあることが解った。

北海道で言う「番茶」は、焙じ茶のことだった。

暖房文化が発達した北海道の冬に、厚着は禁物だった。

梅も桃も桜も、GWに同じタイミングで咲き誇っていた。

静岡県には当たり前のように存在するお茶や筍、蜜柑や柿が北海道ではまったく育たないことを知った。

北海道の夏にエアコンが不要で、北海道の冬に炬燵がいらないことも実感した。

静岡と札幌の緯度差が9°なら、平均気温の温度差も9℃だった。

北海道にないものが静岡県にはあって、静岡県にないものが、北海道にはあった。


北海道の人口は約540万人で、静岡県の人口は370万人。これは国でいうと北海道はデンマークやフィンランドに、静岡県はニュージーランドに匹敵する。

そう考えると、北海道と静岡県の行き来は、1,000kmを超えた国同士の交流だ。


北海道を観光地としか見ていないと、こういう発想にならない。特に静岡県民は、北海道への憧れ感が強く、産品やサービスにからっきし弱い。

北海道は旅する場所で、北海道のモノはとにかく買い、である。静岡県民は、それでよいのか。

北海道にないものが静岡県にあり、静岡県にないものが北海道にあるという関係性。私たちは、環境が異なる国同士の有意義な交流を目指すべきではないか。

札幌の友人を静岡でのフライフィッシングに誘うと、彼の関心は入り組んだ谷間や山間にある立体的集落の環境と、その生活や食文化にあった。

あまりにも異なる暮らしぶりの交感。見慣れぬローカルフードの交換。北の冷涼な大地と、南アルプス南麓の自然体験の交歓。

お互いの個性や資源を共有し、ないものを補い合い、あるものを使い合うことで、静岡県と北海道はもっと魅力的な関係を築けるのではないか。


北海道民が、静岡県を強く意識することは少ないだろう。

「富士山があるところね」「新幹線で通過したことはあるわ」この程度の認識だ。

静岡県が吟醸酒の王国であることを知らないだろうし、北海道に新鮮な魚介類が豊富だと言ったって、新鮮な山葵はない。食料自給率200%を誇ったって、鰻やキウイフルーツは自給できない。

ひょっとしたら、食卓の豊かさは静岡県が上を行くかもしれないのだ。


お互い東京ばかり見ないで、ローカル・トゥ・ローカルでつながりたいものだ。


北海道を観光エリアとしか見ない“のほほん”静岡県民と、静岡県を通過ゾーンとしか見ない“のほほん”北海道民に、僅かな“したたかさ”を期待して。

( 絵 / Midori Kambara )

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