

小笠原 航(おがさわら わたる)
株式会社山ト小笠原商店 代表取締役社長
1966年、北海道千歳市生まれ。
函館の高校を出て、横浜の大学に。株式会社リクルートを経て、30歳で実家である株式会社山ト小笠原商店に入社。現在、代表取締役社長。
妻一人、三男二女の父。
*当エッセイは、株式会社山ト小笠原商店の小笠原社長への取材を元に、EZOBITO編集部でまとめたものです
最初に、今般の新型コロナウィルス(Covid-19)により、少なからず影響を受けておられる読者各位に、心よりお見舞い申し上げます。
当社、株式会社山ト小笠原商店は、新千歳空港内で総合土産物店を2店舗展開しておりますが、本年2月以降、ウィルス禍が猛威をふるい始めてからというもの、正直、経営状態が創業以来の窮地に追い込まれているところです。
しかしながら、当然、厳しいのは当社だけではありません。
空港店に商品を卸していただいているメーカーさんの多くが、発注量の減少や、相次ぐ全国各地の物産展の中止により、行き場を失った商品を抱えて苦しんでいらっしゃるのを目の当たりにしてきました。
逆風なのは、みんな一緒。
だからこそ、自分たちの得意分野で、なにかできることはないか。
幸い、当社は1998年と比較的早期より通信販売に力を入れており、それなりのノウハウと実績の積み重ねがありました。
また、『楽天市場』を通じて全国の通販事業者とのネットワークを育ててきた背景もあったので、これらをフル活用して、この窮状を少しでも挽回しようと考えました。
そして、もがきつつ発売したのが、『北海道ふっこう復袋(ふくぶくろ)』です。

読んで字のごとく、少しでも「北海道を元気にしよう」というコンセプトの商品で、賞味期限の問題から廃棄を待つばかりの食品類を全道のメーカーさんから取り寄せ、それらを複数点セットして、送料込みの定額で販売するというものです。
この商品は、そもそもお客様のご理解なくしては成り立ちませんでした。
・賞味期限の短い商品が含まれる場合がある
・同一商品が2点以上含まれる場合がある
・配送日時の指定ができない(発送時に連絡)
…と、当社の通常の商売ではNGとしている項目をご了承いただいた上で、買っていただくのです。
そこで、当社スタッフと綿密な打ち合わせを繰り返し、お客様に誤解が生じないような、ていねいなページづくりや対応を心がけました。
また、『楽天市場』のアドバイザーの方にも売り方のご助言をいただきました。
さらに、宅配を担っていただいているヤマト運輸さんには、荷出しに柔軟に対応いただくなど、全面的なサポートをいただいています。
このようにして船出した『北海道ふっこう復袋(ふくぶくろ)』ですが、おかげさまでたいへんご好評をいただき、すでに数万件のご注文をいただいております。
メーカーさんからは、「春の物産展で生産した商品をなんとか売り切ることができた」など、安堵のご報告をいただき、企画した当社としてもうれしい限りです。

いま、『ふっこう復袋』は、全国に広がりつつあります。
わたしは、この動きを『にっぽんふっこうプロジェクト』と名付け、賛同してくれる事業者の方にはノウハウの提供など、できる限りのご協力をさせていただいています。
このような努力も、数字的な影響力は微々たるものなのかもしれません。
正直にいえば、わたし自身、今後も観光業界で商売していけるのかどうか、不安な日々を送っています。
しかし、苦難が続く中、少しでも北海道、そして日本が元気になるような取り組みを発信していきたい。
そのためなら、いくらでも知恵を絞り汗を流すつもりです。
わたしたちの取り組みだけで、元気になるとまでは、思えない。
自分たちが動いていることで、自分たちが元気でいたい一心です。
その姿を見てくれる仲間が、少しでも刺激を受けてくれたらうれしいです。
ほぼ空元気かもしれないけど、今はそうかもしれないけど、
未来へ続くと信じています!
( 絵 / Midori Kambara )
<『北海道ふっこう復袋』はこちらからお買い求めいただけます!>
* Provided by Hokkaido Omiyage Tankentai(北海道お土産探検隊・楽天店)
https://www.rakuten.co.jp/hokkaido-omiyage/
https://item.rakuten.co.jp/hokkaido-omiyage/c/0000001400/